APT Women ACCELERATION PROGRAM IN TOKYO FOR WOMEN

受講生

株式会社ビューティフルスマイル 文美月

株式会社ビューティフルスマイル文美月

フードロス削減と途上国支援活動を行うプラットフォーム事業

ビューティフルスマイルの事業内容について教えてください。

ビューティフルスマイルは、日本の大きな社会課題の1つであるフードロスの削減を目指す「ロスゼロ」事業を展開しています。具体的には、我々の協力企業である食品メーカー様に、製造段階で出してしまった規格外食品や生産余剰品等を提供いただき、それを格安で個人や法人のお客様に販売しています。

日本は検品や賞味期限水準が厳しく、美味しく食べられるにも関わらず処分される食品が発生してしまいます。こうした食品を食品メーカー様ご自身が低価格で販売されるケースもありますが、中には自社のブランド価値の低下や価格破壊等を危惧して、自社販売に踏み切れない悩みを抱える企業様もいらっしゃいます。ロスゼロはそうした企業様を協力先として、企業様の社会的なブランド価値を低下させるのではなく、むしろ向上するようなソーシャルブランディングを行っています。

これまでブランドチョコレートや、節分豆を使って再加工した菓子など、ソーシャル的なEコマースを中心として販売しました。また家庭でのロスを持ち寄って調理するイベント等を行ない、事業そのものがフードロスへの関心を高める啓蒙活動となることを目指しています。また、食品の販売で得た収益の一部を、カンボジアの子供の教育支援等に活用しています。お客様にとっては、良質の食品を格安で購入でき、かつ、それが社会課題の解決に役立つということで口コミが起きやすく、多くの方にご利用いただいています。

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起業のきっかけを教えてください。

16年前にヘアアクセサリー専門の製造販売会社を起業したのに続き、今回2社目の起業となります。一社目は子供の預け先がなかったために自分でネットショップを開始したのがきっかけです。子育てをしながら働く中、時間的な余裕のなさから家庭でフードロスを出してしまうことがあり、もったいなく感じていました。そんな中、食品メーカーを経営する知人から、フードロスが生まれる実情を聞き、経験のあるEコマースを使って少しでもロスを減らせないかと思ったのです。

途上国支援に関しては、ヘアアクセサリー事業のCSRとして7年間、日本で不要となったヘアアクセサリーを集め、途上国(主にカンボジア)に寄贈・販売し、その収益で教育や職業支援をする活動を行っていることから、途上国の教育課題に対してCSRを超えてビジネスとして取り組み、かつ、日本のフードロスも同時に解決したいと思ったのです。「もったいない」を次の笑顔につなげることが両社の根っこにあります。

今後の展望を教えてください。

まずは食品提供いただける協力企業様の数を増やすためにも、より多くの企業様にフードロスについて認識いただき、また、弊社に食品を提供すれば自社のブランド価値が向上すると信頼頂けるようになりたいです。そしてフードロス版のふるさと納税のようなマーケットプレイスになることを目指します。また、国連の採択したSDGs*1(持続可能な開発目標)の1つに「責任ある消費と生産」があり、今後日本でフードロスについての関心がますます高まることが期待されます。我々は食品製造~卸の各段階で発生するフードロス問題に事業として取り組んでいる点に、自治体やNPOが運営するフードバンク*2との差異がありますので、ここを差別化し、今後相互に協力して事業や啓蒙活動の機会を創出できればとも考えています。

*1) SDGs:2015年9月に国連総会で採択された「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称
*2)フードバンク:食品メーカーからの寄贈食品を生活困窮者等へ無償提供する仕組み

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