APT Women ACCELERATION PROGRAM IN TOKYO FOR WOMEN

受講生

株式会社andu amet 鮫島弘子

株式会社andu amet鮫島弘子

エチオピアで製造するラグジュリーレザーブランド事業

andu ametの事業内容を教えてください。

andu ametでは、世界最高峰のレザーであるエチオピアシープスキンを使ったエシカルなレザーファッションブランドを運営しており、製品は、レザーの生産地であるエチオピアで調達から製造までを行っています。また、企画、調達、製造、販売の全てのプロセスにおいて社会・環境に配慮し、ラグジュアリーな品質と事業における社会貢献性を両立させています。

企画段階では、現地の伝統工芸技術を活用するとともに、レザー製品の製造過程で生じやすい皮革端切れがなるべく出ないようなデザインとしています。

調達段階では、通常は廃棄される食肉の副産物のレザーを採用し、また、レザー加工用薬剤の浄化システムを有する業者を取引先として選定するなど、エコフレンドリーな調達を心掛けています。

そして製造段階では、フェアトレードを意識し、レザーの生産地であるエチオピアで最終製品を製造しています。これにより、付加価値の低い原材料(原皮)の輸出に依存した既存のビジネスモデルから脱却し、現地での高付加価値の創出や、産業育成の実現に取り組んでいます。当社の取り組みは、エチオピア政府からも高く評価され、『LIDI the highest value products』を受賞しました。

販売段階では、スローマーケティングに取り組んでいます。昨今、ファストファッションの流行により、製品を短いサイクルで消費する傾向にありますが、「良いものを大切に長く使う」という当社が大事にしている価値を日本のお客様にお伝えしています。

起業のきっかけを教えてください。

起業のきっかけは、エチオピアでのボランティア経験です。新卒後は化粧品メーカーに就職しましたが、次第に短いサイクルで大量に製品を生産し、廃棄する消費文化に違和感を抱くようになりました。それを契機に、青年海外協力隊としてエチオピアに渡りましたが、そこでは援助が、現地での持続的な経済発展や産業育成に必ずしも貢献していないと感じました。そうした課題意識から、現地企業の方とプロジェクトを立ち上げるようになり、ビジネスの可能性に気づきました。

その後、エチオピアでファッションショーを行う機会があり、シープスキンに出会いました。その品質に感銘を受けるとともに、原皮を安値で輸出する産業構造に課題を感じました。そのとき、日本で抱いた違和感と、エチオピアで感じたビジネスの可能性と課題が繋がり、エチオピアの素材を現地で製品化し、さらに良いものを長く使うという価値を提供するブランドを作ろうと考えたのです。

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今後の展望を教えてください。

まず、今年度中にフラッグシップストアをオープンさせ、更なるブランド価値や認知度の向上を図りたいと考えています。

また、海外展開を進め、世界で通用するトータルライフスタイルブランドとしてandu ametを成長させたいです。そして、現状は貧困や紛争などネガティブなイメージを持たれがちなエチオピアが、ブランドの成長に伴い、極上のレザーやレザー製品の産出国として認知されるようになると嬉しいです。

さらに、消費者側にも、流行や価格などに振り回されず、自分が本当に良いと思うものを選び、大切に育てながら愛用したり、製品そのものだけではなく、その背後にあるストーリーも含めて丸ごと楽しんだりといった、ライフスタイルや価値観を提案していきたいと思います。

インタビュー動画