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APT WomenAcceleration Program in Tokyo for Women
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プログラム

特定非営利活動法人 全国福祉理美容師養成協会(ふくりび) 岩岡ひとみ

特定非営利活動法人 全国福祉理美容師養成協会(ふくりび)岩岡ひとみ

外見の変化に悩むがん患者のアピアランス(外見)全般サポート

全国福祉理美容師養成協会について教えてください。

全国福祉理美容師養成協会はNPOで、通称「ふくりび」と呼ばれています。その名の通り福祉理美容の啓蒙をしているNPOなのですが、今一番力を入れている活動が医療用ウィッグをはじめとした、がん患者さんのアピアランス(外見)サポートです

そもそもふくりびでは、高齢者や障害者の自宅に訪問し、髪を切る、訪問理美容をしていました。このような活動をしていると色々な相談を受けることがありまして、その中に抗癌剤治療をして脱毛した方や、やけどしてしまった方向けの医療用ウィッグの問題があったんです。

医療といっても明確な定義があるわけではなく、1年~1年半ほど使用できる耐久性や、肌に優しい素材の裏地など各社工夫はしているものの、価格や品質は業者によってバラバラで、品質が良くてコスパのいいウィッグはあまりありませんでした。そこで自分たちで医療用ウィッグを扱うことにしたんです。

ふくりびではどのようなウィッグを作っているのですか?

人毛100%のセミオーダーウィッグを作っています。通常のウィッグは化繊素材でつくられている既製品タイプが多いのですが、これだとショートやボブといった髪型と髪色が決まってしまっていて、ほとんどカスタマイズできないんです。

しかし、ふくりびのウィッグなら色々なカスタマイズができるんです。サイズはSとMの2種類。試着した上でサイズを決め、そこから専門研修を受けたパートナーサロンの美容師が、一人一人のお客様に合わせて、希望の髪型にカットしていきます。流行りの髪型になるようカラーリングしたり、パーマをかけたり、髪型を楽しむことができます。

ちなみにウィッグは、ふくりびと提携していただいているパートナーサロンが全国に100軒以上あり、こちらで試着・相談・購入ができます。

岩岡さんがふくりびに関わるきっかけを教えてください。

私は元々美容室で受付をしていました。理事長の赤木と知り合いまして、あるとき老人ホームに同行し、認知症のおばあちゃんの髪を切っている現場を見学していたんです。そうしたら髪を切っている間におばあちゃんの表情がみるみる変わっていくんですね。本当に認知症の方なのか疑うほどで、訪問理美容は人の尊厳に関わるすごい仕事なんだと、このときに認識しました。この体験がきっかけで、NPOふくりびを一緒に立ち上げ活動を広げてきました。

今でこそ訪問理美容は少しずつ注目され、広がってきていますが、当時は認知度があまりなく、地道な活動を続けてきました。その結果、今では第一人者としてメディアに取り上げていただいたり、大企業と一緒に訪問理美容に関する研修をするまでになっています。

今後の展開を教えてください。

実は日本の理美容の技術は世界的にも高くて、中国で日本の方が研修をしたりしているんです。日本では高齢者がこれから当然増えていくのでニーズがありますし、この経験は海外でも活きるはずですので、中長期的には海外にも活動範囲を広げるかもしれません。

またふくりびは2015年に、「アピアランスサポートセンターあいち(あぴサポあいち)」というリアルな場をがんセンターの近くにオープンしました。ここはウィッグだけでなく、爪や肌などのアピアランス(外見)全般のサポートをしているところなのですが、拠点をもったことで病院からの信頼度や世間からの認知度があがり、問い合わせがグンと増えたんです。やはり実際に直接相談できる場があると安心ですよね。あぴサポと同じ施設を東京にも作る予定です。ここからもっとふくりびを使って下さる方が増えたら嬉しいですね。

福祉理美容がもっと普通になってくれればいいんです。ウィッグだって近所の美容室で普通に売っていればいいし、ふくりびが特別である必要はありません。

「福祉理美容」が特別でなく、当たり前になる社会を目指して、これからも活動していきたいと思います。

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